放置竹林をご存じですか?

放置竹林をご存じですか?

 

みなさん、竹と言えばなにを思い浮かべますか?

まずは「たけのこ」が頭に浮かぶ方が多いのではないでしょうか。
もちろんたけのこはとても美味しくて、春には欠かせない食材ですよね。

(SAHARAでも、もうすぐ販売を開始する予定です!)

ですが、たけのこの話は置いておいて…

今回は『放置竹林』について、3回にわたりお話ししていきたいと思います。



日本における竹の歴史の始まりは縄文時代までさかのぼります。

竹は古くから日用品や家財道具などに使われ、私たちの生活文化とは切っても切り離せない存在でした。
防災機能にも富んでおり、山崩れ・地滑り、または水害を防止するなど、私たちの生活を様々な面で助けてくれています。

ですが、時代とともに竹の需要は衰え、日本各地で竹林の放置が相次ぎました。

人の手を離れ拡大していく竹林のことを、『放置竹林』と呼びます。

近年、竹の主な生息地である西日本を中心に、それは大きな問題となっています。


他の植物の生息地を奪ってしまう

「竹は1日に1メートル伸びることがある」と言うのは有名な話で、竹は植物の中でも成長が最も早い部類に入ります。
すくすくと成長し約3ヶ月で若竹になると、その高さはすでに約10~20メートル。
5年程度で成長は止まりますが、それまでの間に根を広げて子孫を増やし、立派な竹藪を作り上げます。

しかし、困ったことに生い茂った竹は日光を遮断してしまいます。
竹の足元に生えていた背の低い植物は、日の光を浴びられず、うまく成長できないまま枯れてしまうのです。

そして、それは小さな植物だけにはとどまりません。

日本の国土面積3,780万haのうち、森林面積は2,508万haで、国土の約67%が森林です。
そして、竹林の面積は2012年には約16万ha。全森林の0.6%となっています。

『あれ? そんなに多くないな…?』

と思われたかもしれません。
ですが、これは純粋な竹林だけの数字で、竹林と竹が25%以上侵入している森林を合わせた面積だと、全国で約42万haまで増えるのです。

竹は現在も、決して無視できないスピードで森林を浸食しています。

小さな植物だけではなく、森林の生息地も脅かされているのです。

 


重要な炭素吸収源としての役割を果たせなくなる

竹は大気中の二酸化炭素を吸収する能力がありますが、竹林が適切に伐採管理をされていなければ、炭素隔離の効果(二酸化炭素を大気中へ排出することを抑制する効果)は著しく低下することがわかっています。
放置竹林は、地球温暖化防止としての機能の低下に繋がっているのです。


土砂災害が起こりやすくなる危険性

竹は地中に根をはる地下茎(地中にある植物の茎。根のように養分を蓄えたり繁殖の役をしたりするものが多い)で繋がっていて、通常の木とは違い、下ではなく横に根を伸ばしていくと言う特徴があります。



若く瑞々しい竹の根はハンモックのように広がりしっかりと土壌を支え、地滑りや水害から私たちを守ってくれます。
しかし、成長を終え枯れてしまった竹の根は弱く、若い竹と同じだけの防災力を得ることはできません。

放置された竹林を見ると、緑色をした竹の中に薄茶色の竹が生えているのがわかると思います。
そういった古い竹や枯竹が多ければ多いほど、根の力は弱まり山崩れや地滑りのリスクは高まるのです。


このように、放置竹林は様々な問題を引き起こす危険性をはらんでおり、早急な対策が必要とされています。


では、なぜ放置竹林は増えるのでしょうか?

次回のブログでは放置竹林増加の原因についてお話しします。

 

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